相手の気持ちを理解することを重視
幼稚園教諭や市役所職員の経歴を持つ行政書士の塚本京子さん。三つの職業に共通するのは「社会が良い方向に進むための歯車になりたい」という自身の思いです。
もともと自然や虫、動物や小さい子どもが大好きだった塚本さんは、短大卒業後、市内の幼稚園に2年間勤務しました。子どもたちと接する中で、よりたくさんの人のために尽くしたいという気持ちが芽生え、一念発起。市役所に勤め地域のため、忙しくも充実した日々を送っていました。
しかし、2011年の東日本大震災で転機が訪れます。災害当時、市民の安全確保を最優先に働きましたが、自身の家族のケアを思うようにできないというジレンマに陥りました。「家族や仕事への向き合い方を考えるようになりました」
自分はどんな人生を送りたいのか―。じっくりと考えた末に退所を決意。20年3月、長い公務員人生に終止符を打ちます。
今の仕事を選んだ理由を尋ねると「知人の行政書士からの『(役所を辞めるなら)やってみたら』という言葉に、目の前が開けた気がしたんです」との答えが。常に心にあった「誰かのために」という思いに合致したのはもちろん、行政と関わることの多い点も後押しになり、塚本さんの新たな挑戦が始まりました。
相手が子どもであれ市民であれ、対話を重視し「要望を理解すること」を大切にしてきた塚本さん。士業に就いた今でも、その姿勢は変わりません。だからこそ「単なる相談」と「商売」の境界線に悩むことも。ですが「いつも手を差し伸べてくれる同業の先輩方にたくさん助けていただいています。彼らをお手本に、少しずつ『仕事力』を付けていければ」と襟を正します。誰かを助けることで自分が受けた恩に報いたい、と優しくも強い意志を感じるまなざしで語ってくれました。
行政書士証や書類作成のための用紙、『デイリー六法』、印鑑や朱肉、依頼人への説明時に不可欠なふせんや蛍光ペンなど「身近な法律家」ともいわれる行政書士ならではの持ち物ばかり。また、質問があればすぐに答えられるよう、市の税関係のパンフレットは常に最新版を持ち歩くようにしているそうです。
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